読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

日本語PDFリーダーとしてのAmazon Kindle 2 Global Wireless

2009-11-24に, Firmware Update 2.3 で, Amazon Kindle 2 Global Wireless にNativeなPDFリーダー機能が追加された.

hig3にとってふだんPDFを読む機会は多い. 欧文および日本語.

  • arXiv.org のpreprintや, 電子ジャーナルの論文
  • 各種ソフトウェアの仕様書
  • texinfoをPDF化したもの
  • e-book (Packtなど)
  • 岩波数学辞典第4版付録CDROM
  • 自分で platex + dvipdfmx で生成した日本語PDF

これらのPDF表示用途に使ってみた印象. 以下いろいろ文句を書くが買ってよかった. 紙の岩波数学辞典とは重さが比べ物にならない. しかしAdobe Reader やPreview.appには遠く及ばない. Mac Tablet がMulti-Window のOSとPreview.appを積んでいたらまた買ってしまいそう.

  • 画面が小さいという不満をよく聞く. 確かに1画面分しかないのは痛いが, hig3にとっては小さすぎることはない. ふだん, Physical Review系のtwo-columnの記事を, 1200DPIでA4に2upで印刷しているのに比べると, (少なくとも心理的には)大きくまたきれいに表示される. A4を縦置きのスクリーンに表示して困ることはそれほどない.
  • 日本語PDFはフォントが埋め込まれていればたしかに表示できる.
  • 文書によるかもしれないが, PDFリーダーでは文字サイズは変更できない. Text-to-Speechも使えない. Landscape Mode は使える. しかし, テキストファイルの場合にはこれらは使えるので, フォント埋め込みのまったくないPDFなら使えるのかもしれない(Text-to-Speechは欧文部分のみ)
  • PDFでは, Webへのリンクはもちろん内部リンクすら有効になっていないので, 目次から該当ページに飛ぶようなことができない. これはかなり痛い. その代用となるのは(Next Page, Previous Pageを繰り返す以外には) Go To Page でページを指定するか, 検索を使うか, ということになる.
    • 当然, 日本語入力はサポートされていないので, 検索語はうまい欧文ワードを使わなければいけないが, 日本語中心の文書だと困ることが多い. あっページ数の数字を検索する?
    • Go To Pageを使うとしよう. しかし, 論理ページと物理ページが一致していない文書は多い.(目次まではi,ii,iii,..., 本文で1,2,3.. などの場合). そうすると毎回頭の中で計算する必要がある. 目次などを別文書にしてページ数をあわせるという方法もあるが, PDFリーダーはマルチウィンドウではないのあまり便利ではない.
    • そのくらいなら, user@kindle.com にPDFを送って有料でAmazon Kindle形式に変換することにも意味があるか, という気がしてくる. (documentでは発見できなかったが無料のuser@free.kindle.com も使える). しかし, 日本語のPDFはAmazon Kindle形式には変換できない. @free.kindle.com のほうでしか試していないが, サイズの異なるPDFが返送されてきてそれが開けないことがある.
  • Screen saverを無効化できないのが悲しい. バッテリー消費なしにPDFをずっと表示したままにできるのは有用だと思う. まあ人に見せられないような本や文書読んでる場合を考えるとこのほうが安全なのだろうが. 本が自動的に閉じちゃうような装丁になってるのもそういう意図なの?

日本語フォントの埋め込まれたPDFを作るには

自分でplatex+dvipdfmxでPDFを作るとき, 明朝およびゴシックがRyumin-Light, GothicBBB-Medium と指定されるだけで, フォントそのものは埋め込んでいない(dvipdfmxのデフォルトだと思う). Adobe ReaderMac OS X のプレビューは, 適当にフォントを置き換えて表示してくれる. しかし, これでは Kindle では空白になってしまう. フォントを埋め込むことが必要.

安易な対策としては,

  • dvipdfmx -f オプションで, 埋め込みをするようなmapを指定してPDFを生成し直す. たとえばMacFinkのtetex base の ptex では, dvipdfmx -f ptex-hiragino で埋め込める. Macでない場合は東風フォントなどを埋め込めばよい.
  • Mac OS X のPreview.appで開いて保存し直すとHiraginoが埋め込まれる.
  • Adobe Acrobat でもできる気がしていたが, できないみたい. DistillerでPDFにするときにはどのフォントを埋め込むか指定できるが.
  • replacecjkfonts (旧replacejfonts) を使う replacecjkfonts,cjkps2pdf (旧replacejfonts, jps2pdf, replacekochi) これは"強引な"方法だそうだ. Preview.appも強引なソフトウェア?

などの方法がある.

また, yoshi さんをはじめとする方々の手になる Unicode Font Hack という素晴らしい仕事を利用させていただくと, フォントが埋め込まれていない日本語文書も表示できる. Kindle Software Update Version 2.3に対応したUnicode Font Hack

しかし, これでどんな日本語PDFでも表示できるようになったというわけではない. 具体的には, platex+dvipdfmx を使って, このHackで表示できる, フォントの埋め込みのない日本語PDFを生成することには hig3 は成功していない. この話は別稿で.


追記(2010-03-06)
http://blogkindle.com/2009/06/kindle-dx-pdf-support-review/
Kindle DX US Wireless のPDF Viewerのreviewがあったことに気づいた. Kindle2のものと重なる部分も多い.