フランスでの研究者および研究者同行家族の滞在許可証取得

2008-08-25加筆

滞在許可証取得+更新はひとつのartであるようで, 多くの人が経緯を書かれていて, hig3も大いに参考にさせていただきました. しかしその手順は, 場所と時期と個人的状況と担当者によって大きく異なるようなので, 重複は覚悟でさらにもうひとつの記録を追加したいと思います.

hig3の状況としては, 日本の大学の身分を保ったまま, 日本の大学の財源で, 2008年4月-2009年3月の1年間, フランスの大学(とCNRSに属する研究所)に滞在させてもらうというものです. フランス側の(例えばVisiting Professorとか研究員とかの)正式な身分はありません(実際に来てみると, 研究所内的には, visiteur scientifique とか visiteur longue terme などとよばれて, 他国の財源で来るPostdocなどと似た扱いをされているみたいです). また, フランスで仕事をするとは限らない(たぶんしない)が学校には通うかもしれない家族が同行するという計画です.

以下, 時系列で, 後知恵=hindsight をはさみつつ説明します.

言い訳

以下ではいろいろ間抜けなことをやっていますが, そのもっとも主要な言い訳は以下の通りです. hig3は1994-1995にフランス財源でフランスの研究所でPostdocをしたことがあり, このときは, 日本であらかじめVisaを取得しておくのは途中のどこかで手続きがストップして日程的にしんどかったが, フランスに来てから滞在許可証を得るのはまったく大変でなく, 雇用者から指示されるがままに何個かの手続きや出頭があったのは覚えていたがそのゴールが滞在許可証取得であったことをほとんど意識していませんでした. そのため, Visa取得よりも滞在許可証取得のほうがたいへんだという意識が, 出国直前まで抜けていて, researchも怠っていたのでした.

2007年8月ごろ 受入機関決定 + Invitation letter 取得

日本の大学の身分を保ったまま, 日本の大学の財源で, 2008年4月-2009年3月の1年間, フランスの大学(に属する研究所)に滞在させてもらうことを先方にお願いし, 了承をいただきました. フランス側の(例えばVisiting Professorとか研究員とかの)正式な身分はありませんし, 日仏両政府の直接に関与する財源でもありません. e-mailの交換に加えて, hostのサインのはいった英文のinvitation letterを書いていただきました.

2007年11月ごろ Visaの種類選択

在日フランス大使館のページ

# ビザが必要ですか # シェンゲン・ビザ (短期滞在ビザ) # フランスのビザ (長期滞在ビザ) * 学生ビザ * 就労ビザ * 研究者ビザ・研究者の同行家族ビザ * 研修生ビザ * ワーキングホリデー ・ビザ

を見ると, いずれかのvisaを取得していかなければいけないことがわかります.



hig3本人に関しては長期研究者ビザにほぼ決まりで, 問題は家族です. hig3の家族の場合, 年齢の関係もあり

  1. 研究者の同行家族ビザ(取得はいちばん容易. しかし, 入国後の権利義務が何なのかはこの時点では調べきれていませんでした. 最終的には Title de sejour prive et familiare, すなわち企業の駐在員の家族の滞在許可証と同一のものになります)
  2. 学生ビザ(あらかじめ学校に入学を申込み, それをもとに申請する必要があります. 最終的には学生の滞在許可証 Title de sejour etudiante になり, 学校に行き続ける義務があります. 時間に上限はありますが, アルバイトが可能です)
  3. ワーキングホリデービザ(発行数に上限があります. 動機を(フランス語または日本語で)書いて応募する必要がありますが, まわりを見ると, フランス語でなきゃだめとかぜったいフランスでなきゃできないような目的が書いてなきゃだめとかいうことではないみたいです. 労働できます. 特に義務はありません. また, 入国後に滞在許可証を取得する必要がありません. いわばビザが滞在許可証を兼ねています)

の3つの可能性があります. 研究者の同行家族ビザを選択することにして, 12月のワーキングホリーでビザの受付開始をパスしました.

[hindsight]

ビザの種類により滞在許可証の種類が決まりますが, 対応は多対1です. 滞在中の自由度に関して大事なのは滞在許可証の種類であって, ビザの種類は副次的要素(滞在許可証を得るまでの手続きが異なる)です. 大使館のページには明示的には書かれていませんが.

[hindsight]

この状況下では学生ビザは制限が強いだけで特にいいことはありません(他のビザでも学校に行けるし, フルタイムの学校に行っていれば学割は効く). ワーキングホリデーの場合, 滞在許可証取得の手間がないし, 入国してすぐ働けます. 研究者の同行家族ビザは, 入国後に滞在許可証を得るまでは時間がかかり, 語学を勉強しろとか言われますが, 滞在が1年なら逃れられるし, その後は労働もできます. 同行家族ビザで正解だったと思われます.

2008年1月ごろ+Protocol d'accueil d'un chercheur ou enseignant - chercheur etranger (外国人研究者受入承諾書)取得

在日フランス大使館のWebにある書式をダウンロードして記入し, 記入できるところは記入し(フランス語で滞在目的などを書かなければいけない), 滞在先のhostに送って, 県庁と大学の担当者のサインをもらって返送してくれるように頼みます.
返送されてきて, hig3の場合, 大学側担当者は学部長であることがわかりました. 県庁は"県庁"というスタンプでした. 県というのは滞在先研究所のある県であって, 最終的に居住する県ではありません.

[hindsight]

送る部分は, 実物でなくscanしたimageをメールで送ってairmail片道分の時間を節約できたと思われます(研究者本人がサインする部分はないので)

2008年2月ごろ Visa取得

Protocol d'accueil やpasseport を含む書類をそろえて, 広尾にある在日フランス大使館に, 長期研究者visaと研究者同行家族visaの発行を申請します.

受取は郵送でもできますが, 申請は, 1家族あたり最低1名が広尾の窓口に出頭する必要があります.
hig3は関西に住んでいるので, 機会を選ばなくてはいけません.
かつては, このvisa発行業務は大阪にある在大阪・神戸フランス総領事館

CONSULAT GENERAL DE FRANCE A OSAKA ET KOBE 在大阪・神戸フランス総領事館

でもやっていたようなのです(そう書いてあるWebページがあり, 現在でもできると誤解していました)が, 現在は, 広尾に集約されています. そのかわり, 旅行代理店を通じた代理申請が可能になっています.

ビザ申請は申請者ご本人が窓口に来館していただきます。郵送での申請は受け付けておりません。窓口に直接お越しいただくことが難しい場合は、下記の旅行会社(お勧めする旅行会社)の代理申請も受け付けております。 o JTB o HANKYU TRAVEL SUPPORT o KINKI NIPPON TOURIST o NEW JAPAN AIR SERVICE (NASVI) o NISSHIN TRAVEL SECURITIES o HIS

ただし, 無料というわけにはいきません…

書類がそろっていなくて再申請, とかなったときに, 自分で行っていると往復交通費がもう1回必要になる, 旅行代理店に頼むと, 往復の通信や情報のロスが発生して遅れが起きるかも, など勘案しましたが, 自分でやる時間がない, というのを最大の理由として旅行代理店に頼むことにしました.

上記の旅行代理店のうち, 身近にあるものに質問したところ,

  • 現在はやっていない, というところ.
  • そこでフランス行き航空券を買うのが前提で, かつ数万円の料金をとるというところ
  • そこでフランス行き航空券を買うのが前提で, かつ数千円の料金をとるというところ

がありました. また, 地方都市の支店がこういう業務に慣れていないのは無理もないのですが, そのときに対応の様子から, 信頼性に関してもある程度の情報が得られました. 結局, そこでフランス行き航空券を買うのが前提で, かつ数千円の料金をとるという, 日本旅行TiS(大津駅前にある大津支店)にお願いしました.
その過程では, 在日フランス大使館から申請者への記載事項確認が1件だけあったのですが, きちんと中継してもらえて, 何の問題もなく1週間程度で, 大津支店の店頭でvisaを受け取ることができました.

なお, visaというのはpasseportの1ページに貼付けられる写真付きシールなので, この申請中はpasseportを旅行代理店および大使館に預けることになります.

ここで得たvisaにはいくつか注意事項が書かれていて,

  • 4月初めの特定の時期に入国せよ
  • 入国後の有効期限は3か月
  • 入国後7日(?)以内に警視庁に出頭せよ(本体には書かれていなくて, 別に日本語の説明文書)

というものです. 旅行代理店のかたもわざわざ注意してくださいました.

ただし, 常識すぎるのか, これと引き換えに3か月以内に滞在許可証を取得する必要がある, というのは明示的には書かれていなくて, hig3の誤解を解くには至らなかったのでした.

[hindsight]

入国後10日以内, というのは, 少なくともhig3の場合には特に意味がなく無視してよかったと思われます. 普通に住宅を見つけて大学を通して申請するのは7日では無理でしょう.

[hindsight]

もう少し早く作業を始めていれば, 東京で用事をするついでに広尾によって申請して数千円節約できたでしょう.

(以下, to be written)

2008年3月末

あわてて滞在許可証申請に必要な情報と証明書を集める

2008年4月

Prefecture de police で申請してみるが大学経由でやれと言われる

2008年5月

  • 大学を通して申請してみる
  • 召喚状が大学経由および郵送で来る
  • recipisee を受け取る.
  • 健康診断に行く.
  • 滞在許可証を受け取る.

市民教育や語学教育を受ける.

滞在許可証を得ると可能になること

  • 家族は上記の教育をしてもらえます.
  • この取得が, 日本で言う住民登録に相当するみたいです. 区役所(maire d'arrodismont)から種々のお知らせが送られてくるようになります.
  • 日本の運転免許証をフランスの運転免許証に切り替えられるようになります(切り替えなければならなくなります. していなくてもなかなかわからないとは思いますが)
  • 住宅を借りるのが容易になるようです(申請中だと言ってvisaを見せれば問題ない場合も多いようです).
  • 銀行に口座を開くのが容易になるようです(申請中だと言ってvisaを見せれば問題ない場合も多いようです)